森里川湖をめぐるストーリー 10
[2024年6月11日]
ID:17384
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このコラムは、鈴鹿の森から始まり、森里川湖を通じて人と自然がつながっていることを感じていただくものです。
「宇治は茶所、茶は政所」と茶摘み歌にうたわれた政所茶。その起源は古く、今から約六百年前の室町時代、永源寺第5世の僧・越渓秀格によって小椋谷に伝えられたと言われています。
政所茶の特徴は、在来種、有機肥料、無農薬、手摘みにあります。
平安時代に僧侶が中国大陸から種子を持ち帰り、各地に広まった茶の木ですが、改良品種の栽培が多い現代において、政所茶のように古くから土地に根付いた在来種の茶が栽培されているのは、全国の茶生産量のわずか3パーセント程度と、とても貴重です。
栽培においても、農薬は使わず有機肥料である油かすを使用し、雑草除けとして茶の樹の根元にススキを敷き、肥料の役割や茶樹の保温などの効果をもたせ、自然の恵みを巧みに利用しています。
また、政所茶の木は、丸い株立ちで並んでいます。他の産地では、かまぼこ型の畝状に茶樹を栽培し、機械刈りが主流となっていますが、政所茶は現在も手摘みで収穫するためにこの形が残っています。
このように、長い歴史を有し、伝統的な手法で生産が受け継がれる政所茶は、全国的にとても貴重なお茶です。
鈴鹿の森の豊かな自然環境のもと、先人の暮らしと共に栽培されてきた政所茶は、現代の私たちが森の恵みを享受できる、すばらしい地域資源と言えるでしょう。
政所茶
茶摘みの風景