書部門 審査員:藤田 恭敏
<総評>
20周年の記念展にふさわしく、書体や紙の大きさにも多様性にあふれています。一気に書ききった力強いもの、集中力を高めて多字数を書ききったものなど、それぞれに自己の表現を追及しておられ、見ごたえのある作品が多く並んだことをうれしく思います。
市展賞
【命題】更愛
【住所】蒲生郡日野町
【氏名】長束 典子
【特別賞】滋賀県芸術文化祭奨励賞
【講評】墨量豊かで、圧倒的な線のボリュームと質感が見る者の心に迫る。立体感のある渇筆に、技術の高さがうかがえる堂々とした作品となった。
特選
【命題】草ノ上花ノ下
【住所】東近江市
【氏名】山本 渓翠
【特別賞】毎日新聞社賞
【講評】独自の紙面構成に挑戦した感性がすばらしい。黒を強くおくことで白を響かせている。多様な線質で書ききってある点も魅力である。
特選
【命題】送韋評事
【住所】東近江市
【氏名】肥夏 恒子
【特別賞】中日新聞社賞
【講評】よく練磨された線である。抑揚の変化と緩急のリズムの変化が心地よい。行間を広く取り、明るい紙面作りに成功している。
特選
【命題】寺山修司の詩
【住所】彦根市
【氏名】筒井 妍月
【特別賞】東近江スマイルネット賞
【講評】淡墨のおだやかなにじみと、文字造形の変化による行間の白が印象的な作品。筆の抑揚、かすれ、われなど、毛筆の魅力を引き出している。
佳作
【命題】古代文字 秋
【住所】守山市
【氏名】福角 窓月
【講評】「秋」の古文一字をダイナミックに書いた。古文のもつ造形のおもしろさと迷いなく書きぬいた筆線が調和し、見る者を楽しませる。
佳作
【命題】臨 傅山
【住所】野洲市
【氏名】平野 颯希
【講評】多字数行その臨書に誠実に取り組んでいる。傅山特有の切れ目なく続く曲線や、文字の大小、行のゆれなど、特徴をよく捉えている。
佳作
【命題】鄭獬詩
【住所】東近江市
【氏名】角田 朋子
【講評】筆の弾力のきいた力強い運筆で書ききっている。行間をとり、すっきりとした流れを表現している。
佳作
【命題】酷暑
【住所】東近江市
【氏名】張川 裕子
【講評】今年の夏を象徴するかのような「酷暑」。篆書を題材としながら、墨の反応、筆の割れなど、自由な表現にとりくんだ独創的な作品。
高校生奨励賞
【命題】臨 鄭板橋
【氏名】 高橋 天音
【講評】独特の文字造形、味わいのある線質が魅力の鄭板橋の作風を楽しみながら書いている。大小行間など全体構成にも工夫が感じられる。
高校生奨励賞
【命題】顔真卿
【氏名】桂田 紗央
【講評】顔真卿の変化ある行書を確かな点画を意識しながら臨書している。よどみない運筆に日々の努力がうかがえる。